大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(オ)921 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人石坂繁の上告理由第一点について。

原判決は、DからEへ、Eから上告人へ本件建物の所有権が移転されたのは昭和

二三年五月だと認定しているのであるから、同二二年一〇月DがEのため右建物に

つき設定した担保とは、即時所有権を移転する趣旨のものでなかつたこと自明であ

る。のみならず原判決は、被上告人らの前主FがDから所有権を取得したのはDの

Eに対する担保設定よりも遙かに前の昭和二二年二月頃であるとの事実を確定した

のであるから、たとえ所論のようにEが右担保権の設定を受けると同時に本件建物

の所有権を取得したとしても、何ら原判決の結論を左右するものでないこと明らか

である。要するに論旨は原判決を正解せず、または原判決の認定に副わない事実を

根拠として原審の判断を非難するものであるから採用できない。

同第二点について。

論旨は、上告人がDからF、Gを経て被上告人らに本件建物の所有権が譲渡され

た事実につき仮りに悪意であつたとしても、被上告人らの登記の欠缺を主張する正

当の利益なしとはいえない、という趣旨と解される。もとより不動産所有権の移転

につき第三者が単に悪意であるというだけでは、譲受人の登記の欠缺を主張する正

当の利益なしとはいえないが、原判決は上告人が単に悪意であつたということのみ

を理由として正当の利益なしとしたものでないこと、判文上明らかである。原審認

定の事実関係の下においては、上告人は被上告人等の登記欠缺を主張する正当な利

益を有しないとした原審の判断は相当であつて、論旨は理由がない。

論旨はなお判例違反をもいうが、如何なる点が如何なる判例に違反するかを具体

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的に示していないから採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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